到着初日、迷っていたら、ポルトガル人の女の子が仕事中なのに
寮まで連れて行ってくれた。
カナダ人にゴミ捨て場を教えてもらい、
ロシア人に洗濯機の使い方を教えてもらい、
オーストリア人に実験を教えてもらう。
それだけで、ここに、来てよかったと思う。
今日は土曜日で、よく晴れている。
早く買い物に行かないと、町中の店が閉まる日曜がやって来る。
窓の下をたくさんの人が徒歩で、自転車で、バスで、トラムで街に向かって行く。
それでも私の心は何やら晴れない。
洗濯は済み、週末に死なない程度のものは揃った。
急を要する実験も書類もない。観光に行けばいいのだ。
でも、なぜ。
キリスト教的観点から、日曜には全ての店が閉まるこの街のことを、この街で生まれた彼女は「stupid」と言った。
24時間365日が当たり前の国で、「月月火水木金金」を強いられ、時にそれを自らも強制して苦しみ、救いを求めるような気持ちを少なからず持ってこの街に来た私には、それが「stupid」なこととは思えない。
自分が「stupid」でなくなる日なんて来るんだろうか。
窓から差し込んでくる、春の光が目に痛いほどだ。