実は昨年書いて下書きになっていたのですが、今週またお散歩に行くのです。それで記事のことを思い出して、アップロードしました。
「墓場で散歩」というとゲゲゲの鬼太郎てきな、
若干不謹慎な響きもありますが、
公園も併設されている巨大な霊園で、
有名人のお墓もたくさんあるので、
お散歩コースとしても有名。
きっかけは、オーストリア人の友人が、おばあさまのお墓参りに行くついでに、
霊園の東側一帯にある、
Alter jüdischer Friedhof (旧ユダヤ霊園)を見たいというので、
便乗させてもらったのである。
霊園はウィーンの中心街からトラムで30分くらい。
入り口でキャンドル(火が消えたり燃え移らないように蓋つき)を買い、
まず歩いて友人のお祖母様のお墓へ。
広大な霊園をひたすら歩く。まずは中央のキリスト教の霊園。
私はてっきり、十字架みたいなオブジェが並んでいるのかと思ったが、
そうではなくて、日本の墓石と同じような素材の石で、
シンプルな長方形が多かった。
ただ、昔は土葬で棺をそのまま埋葬していたからだと思うんだけど、
日本のお寺のお墓よりスペースはたくさん必要みたい。
少し肌寒い秋の日で雨が降りそうだったせいもあるだろうけど、
ほとんど人がいない。
静まり返っている。ときどきカラスやリスが鳴いたり、横切ったりする。
簡単にお墓とお墓の周りを掃除して、キャンドルをそなえて黙祷をささげる。
そのあとは友人の案内で中央にある霊園教会に行き、
旧ユダヤ霊園へ。
ここは霊園が完成した1874年から、1930年代ごろまでのユダヤ教信者のためのスペースで、第二次世界大戦中のナチによる破壊を免れたお墓がひっそりと佇んでいる。
(それ以降、現在までのユダヤ教徒のお墓は西側にある)
もう参る人もほとんどいないので、
共用スペース(通路のような場所)の管理もほとんどされておらず、
70年をこえる時間に任せて、植物が生い茂り、
なんといっていいかわからないけど、ただただ静かで、美しい。
墓石には、日本で言うところの「◯◯家の墓」のあとに、
個人の名前があり、誕生日と亡くなった日付が書いてある。
中には、生まれた場所と亡くなった場所や、生前どんな人だったか、が簡単に説明されていたりする。
(ヘブライ語も多いのでわからなかったりもする)
ナチによる支配が続いていた時代に、強制収容所がある地名で亡くなっている人も、いた。