死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

オーストリア医療体験記③

これで歯医者編は最後です

前回までの記事はこちら。

 

yyyamori.hatenablog.com

yyyamori.hatenablog.com

 

 

CT終了後の来院。

とくに重大な異常は認められなかったので、クリーニング(歯石や汚れをとるアレ)と、

前歯にあった小さな虫歯の治療だけ。

 

まずは衛生士さんがクリーニングをしてくれる。

クリーニング自体は日本でも半年に一度やっていて慣れていたが、

どんな内容だったかまではよく覚えていない。

洗浄に使う液体が飛び散るので、いつもタオルで口以外の顔全体を覆われており、

器具など確認できなかったからである。

 

一方こちらの衛生士さんは、

紙のエプロンを私に着用させると、

おもむろに透明のジェルを私の歯茎に塗り込み始めた。

 

そしてブラシみたいな機械で掃除。

多少痛かったし、顔に水やら何やら微妙に飛び散ってきたけど、

まあここまではそんなに疑問もなく。

 

そしてあの、ジェット水流と砂?みたいなので表面を磨く工程に来た時、

大きめのサングラスを渡された。

サングラスを着用して、工程開始。

 

予想通り、砂、飛び散ってる。しかも大量に。

そして、お姉さん、ノーガードの私の唇にうっかりジェットを当てまくる。

 

口じゅうから出血してるのがなんとなくわかる。

おそらく唇からも。

 でも痛みにはすごく強い方なので、

心頭滅却してひたすら待つ。

途中、しびれた唇からタラーッと唾液が。

衛生士さんが紙エプロンでぐいっとぬぐってくれる。

 

「終わりましたよー」と言われ、口をゆすぎに起き上がると、

さっき私の口をぬぐった紙エプロンが血まみれ

そして少量の水を含んでうがいして吐き出すと、

鮮血がドバーっと流れ出た。

思わず

「なんじゃこりゃー!」

と叫ぼうとしたが、

「あ、だめだ、誰も松田優作知らないわ

と冷静になり、やめた。

 

鏡で顔を見ると、顔じゅうに研磨剤の砂が飛び散っている。 

唇は出血し真っ赤になっていた。

 

ここでドクターが登場し、虫歯の治療。

麻酔をかけてもらったので痛みはなかったが、

器具が傷ついた唇に当たるのが痛い。

治療が終わって再度見ると、唇はかさぶたで覆われていて見苦しい・・・

1週間ほど治らず、メイクでも隠せるものじゃないので、

すごくゆううつだった。

 

結論:オーストリアの歯医者さんは、ちょっとワイルド(なことがある)

留学初日、あったらよかったもの

今週のお題「私のタラレバ」

 

基本的に「たられば」でくよくよしない性格です。だって意味ないし!

 

なので、後悔はしてないけど、誰かの役に立ちそうな、

留学初日、こうし「たら」よかった、

留学の当日に持って来「れば」よかったもの、をあげます。

 

なぜ「留学の当日」に絞ったかというと、

私が一番困ったのが留学初日とそれに続く2日3日だったからです。

 

たいていのものは時間が経つうちにどうにかこうにか手に入ったり、

解決するものなんですが、初日はそうじゃない。

 

私の「たらればリスト」は

  1. 飛行機の到着を真昼間にすればよかった
  2. 携帯を解約しないで持って来ればよかった
  3. お湯を沸かせるようにすればよかった

 

私は月曜の夕方に着く便でウィーンに来ました。

当時は直行便があって、それが1日1便だったからです。

この時点で大学の研究室はしまっており、さらに契約していた寮の事務もしまっていました。寮の鍵は事前に教授が大学の警備の部屋に預け、それを受け取ることになっていました。

 

問題1: 警備員がいる部屋がわからないが、電話もインターネットも使えない

 

日本で契約を切ってしまっていたため、スマホwi-fiのみ。

なので誰にも連絡が取れない状態でした。

警備の部屋はものすごいわかりやすい場所にあったのに、パニックになっていたのか見つけられず。18時頃になってしまい、日も暮れ始め、学生さんもいない!

結局、夜の実験か何かがある学生さんが偶然、大荷物を抱えてうろうろしていた私を見つけて、事情を聞いて案内してくれました。

 

問題2: あったかいものが飲めない

 

部屋につき荷物を降ろし、なにかあったかいものが飲みたいなー、と思いました。

多分19時頃だったと思います。

一応、日本の空港で菓子パンを一つ買って持ってきてはいました。

あと空港から寮まで乗ったタクシーの運ちゃんが、お腹空いたー、と言ったらりんごをくれました。笑

寮の個室にキッチンはあったのですが、お湯を沸かす道具がない。

この時点でへとへとで出かけたくないし、実際ウィーンの多くのスーパーは閉まり始める時間です。最近は20時までやってるとこも増えてきたけど。

仕方なく菓子パンとりんごとお水で晩御飯です。

(水道水が安全でおいしいのはオーストリアのすごいところ!)

ただ、私はあったかい飲み物がないと落ち着かない性質なので、その夜はあまり眠れませんでした。

 

問題3:インターネットにつなげないので教授に連絡が取れない

 

明日、どこに行って挨拶すればいいのか、教授にメールしようとしました。

寮には無料のwi-fi がついてる、と事前に知っていましたが、

使用するにはなんと、事務からパスワードを発行してもらわなければいけなかったのです。

それを知らなかった私(だってどこにも書いてなかったし)。

家族に「無事ついた」という連絡もできず、

明日どこに行けばいいんだ!ということもわからず、

心細い夜になりました。

 

問題4:朝ごはんがない!

 

たいした問題じゃないんですけど、

お腹がすくと心細さが倍増するんです!

 

結局、次の日は朝から大学をうろうろして、自力で教授の部屋にたどり着きました。

「連絡がとれなくて心配したわ!」と言われ、反省。

ご挨拶と施設案内ツアーのあと、

すぐにオフィスに行き、使用可能なデスクトップPC付きのデスクに案内されました。

やっと自分のノートPCかスマホからインターネットにアクセスできる!と思いきや、

それには大学事務に行って在籍証明とかをとらなきゃいけないので、

しばらくはこのデスクトップしかつかえない、とのこと。しかし!

 

問題5:このデスクトップでは日本語が入力できない

 

なので、日本の教授や友人には英語で「無事つきました」と連絡ができたのですが、

私の両親は英語があまり得意ではないので、困りました。

そこで"learn japanese"などで検索して、日本語のページを幾つか開き、

そこからコピペで文字を拾い上げて

「きのうぶじついた にほんごがうてない あとでれんらくする」という、

 

「新聞を切り抜いてつくった脅迫状」みたいなフォントバラバラのメールを両親に送りました。

両親はメールしたのに返事がなく、とても心配していたとのこと・・・

 

そのあとは、寮の事務でwi-fiを開通してもらい、

研究室の同僚に住民票の登録(オーストリア到着後3日以内にしないといけない)

と公共交通機関のカードを作ってもらい、

これでやっと、住む、買う、連絡するに困らなくなりました。

また、携帯は2週間後くらいに、こちらの人に相談しつつ、落ち着いてから手に入れました。

 

ここでリストのおさらい

  1. 飛行機の到着を真昼間にすればよかった
  2. 携帯を解約しないで持って来ればよかった
  3. お湯を沸かせるようにすればよかった

 

1.飛行機の時間を真昼間にすればよかった

当時はウィーンー東京の直行便があり、さらにそれが1日1便で他の選択肢がなかったので仕方ないといえば仕方ない。

あと、留学初日に乗り継ぎ便はおすすめしない。

ただでさえストレスが多いのに、これで乗り継ぎのストレスや、

万が一にもラゲッジロストなんて起きた日には泣くに泣けません。

 

でも、もし直行便が複数ある場合や、乗り継ぎ便しかない場所に留学するなら、

到着時間は昼間にしておいた方がいいです。

そうすれば、教授や寮との連絡もスムーズで、インターネットの接続なども早いうちにできると思います。

また、初めて行く土地では、日が暮れると得られる情報が激減するので、明るいうちに事が済むように、高くても午前中に着く便で来た方がいいです。

 

2.携帯を解約しないで持って来ればよかった

いざという時に、ローミングで電話やネットが使えるのは、安心です。

バカスカ使ったりしなければ、高くとも数千円で済む範囲です。

万が一、寮や大学など目的地に着かなかったり、鍵が手に入らないなどのトラブルにあっていたら・・・近くに人が通りかからなかったら・・・

日本の3大キャリアは、電話と書類で本人確認ができれば、家族にショップに行ってもらって解約ができます。確か。

 

3.お湯を沸かせるようにすればよかった

 携帯の湯沸かしポットか、フライパンの一つでもあると便利です。

 あとはお好みでカップラーメン。日本のコンビニには紙コップとお茶やコーヒー、砂糖のセットが売ってますよね、あれも良いと思います。

食器を買うまでは大変なので、使い捨ての食器や調味料も少量あると便利。

 

 以上が私のたらればでした。

 

今日の読書とおやつ

ゆううつなときは活字が読めなくなるので、

今日は Kindle unlimited で見つけたこちらの漫画を読みました。

むんこ「だって愛してる」全3巻

 

だって愛してる 1巻 (まんがタイムコミックス)

だって愛してる 1巻 (まんがタイムコミックス)

 

あらすじ:

あんまり売れてない作家の雄二と、

それを支える勤勉妻・街子、

二人を暖かく見守る周囲の人々の日々をつづった4コマまんが。

 

とにかく出てくるキャラがみんなそれぞれの優しさを持っていて、

照れながらもそれを表現する。

読みながらときどき泣きました。

誰かに優しくしたくなる、すばらしい作品です。

 

あと、作者のコメントがすごく印象的でした。 

 

"『だって愛してる』そう言われたら二の句が継げない感じのタイトルがお気に入りです"

(1巻より)

 

"愛とはすなわちエゴだと思います

 

エゴだと思っていないとしたら

それが一番のエゴだと思います

 

それでもこの言葉に嘘はないのです

『だって愛してる』"

(3巻より)

 

「だって愛してる」の下に"Because I love you" と英訳が書いてあるのですが、

それがなんというか

「そうだよね、そう言われたら何も言い返せないよね」

って感じを際立たせてるな、と思いました。

 

愛とはエゴであるー、のコメントは、なんというか、完璧だな、と思いました。

 

いつか「だって愛してる」を使ってやろう、という気になりますね!笑

 

 

読書の友、おやつは Marillenkrapfen マリレンクラプフェンでした。

 

Marillen = あんずの

Krapfen = ドーナッツ

揚げパンに似た生地のなかにあんずのジャムが入ってます。

大きさはコンビニの肉まんくらいでしょうか。

私はこれがウィーンのお菓子のなかで一番美味しいと思ってます。

Vanillekrapfen という、バニラクリームが中に入ってるやつもあるんですが、

個人的にはあんずが断然おすすめです。

ケーキ屋やパン屋で一つ1ユーロくらいで売ってます。

 

だって愛してる 2巻 (まんがタイムコミックス)

だって愛してる 2巻 (まんがタイムコミックス)

 

 

 

だって愛してる 3巻 (まんがタイムコミックス)

だって愛してる 3巻 (まんがタイムコミックス)

 

 

ちょっとゆううつ

ここ数日、ちょっとメランコリックです。

慣れたものなので、たくさん寝てウォーキングにでも行けばいいんです。

 

あ、道が雪プラス氷で歩けないんだった・・・

 

私は滑って転ぶ常習犯なので、無理はしないようにしてます。

じゃあ歩けないなあ・・・

 

スクワットでごまかすことにします。

昔の話

高校生の頃、部活の練習の終わり。

グラウンドから引き上げようかとしていた時、仕事の車を脇にとめて、

練習をぼーっと見ているドライバーに気づいた。

35歳くらいの地味な感じの男性。

配送の途中で休憩でもしてるのかしら、と思った。

なんで仕事の車とわかったかというと、

同じ会社で父が働いていたから。

 

その男性は毎日、だいたい同じ時間に来て、10分くらいで仕事に戻っているみたいだった。

女子を見つめているとか、そういう気持ち悪い感じではなく、

まんべんなくどのスポーツも見て、

ときどき小さく応援したりしているのを見て、なんだかほんわかしたりした。

飛び出ていったボールを返すときに、必ず砂を払ってくれるのが微笑ましい人だった。

 

私が通う学校だけかもしれないが、当時は今ほどうるさくもなく、

一般人がグラウンド脇まで来て見物していても誰も何も言わないし、

そういう人向けにベンチがあるくらいだった。

他にも仕事の合間に来ているような男性もいたから違和感はなかった。

 

父に聞くと、

「そのルートなら多分、あいつかあいつかあいつだなー」とか言っていた。

「今度、それとなーく探りを入れてみるよ」とも。

 

ある日、ボールを戻してくれようとしていた彼に、話しかけてみた。

お仕事の休憩中ですか?スポーツお好きなんですか?と。

彼は、いえいえいえ・・・とかなんとか言いながら、顔の前で手を振って後ずさりしていってしまった。

私は上下長袖長ズボンのジャージの、たいして可愛くもない女子高生だったので、

よっぽど照れ屋の人なんだな、と思った。

 

だから、それ以降は話しかけず、たまに目があった時だけ、会釈するようにした。

彼も照れながら返してくれた。

そんなことが多分、数ヶ月続いた。春から夏にかけてのことだった。

 

秋になり、外での練習が肌寒くなりだした頃だった。

 

その日の夜、父は喪服を着て帰ってきた。

 

従業員の一人が亡くなって、通夜に参列してきたそうだ。

死因は?と聞くと、自殺だった、ひとりもんでな。と父が言った。

いいやつだった、無口だけど。誰も悩んでいることに気づかなかった、と。

 

その日以来、グラウンドの彼は、姿を現さなかった。

 

もしかしたら配送ルートが変わったのかもしれないし、

もっと給料のいい仕事に転職したのかもしれない。

その辺にも父は関わっている立場だったので、聞けばわかることだった。

 

でも、父が何も言わないのが答えであるような気がして、

結局、何も聞けないままだ。

 

今日、私が落とした手袋を、雪を払ってから手渡してくれた老紳士を見て、

思い出した。

雪が降ってます

ここ数日寒い日が続くウィーンですが、今日はかなり雪が降っています。

 

もうすぐ春が来るよ、とオーストリア人の友人は言いますが、

 

信じられません・・・

 

2年目でも、この冬は苦手です。

 

来年はどう思うのかな・・・

久々の読書

数少ない日本人のお知り合いから小説を借りてきた。

やっぱり本は紙の本である。

嬉しくて2冊も一気に読んでしまった。

 

ホテルローヤル (集英社文庫)

ホテルローヤル (集英社文庫)

 

 

 

マドンナ

マドンナ

 

 最近、日本語能力がめっきり落ちているので、感想を書くのが苦痛。

なので書きません。

でも両方すごく好きな感じの作品でした。

 

本当は両親に船便で私の本をごっそり送って欲しいんだけど、

重いし手間だし自分が帰国した時に・・・と思っています。