【1冊目】
帚木蓬生「閉鎖病棟」
なんだかおどろおどろしい名前だが、内容はそんなことはない。
福岡にある精神病院の入院患者のヒューマンドラマである。
彼らの中には重大な罪を犯したものもいる。
でも、善意の医療従事者や患者同士の助け合いで、
開放病棟とは言いながら閉鎖的な世界でも、幸せを見つけていく。
暗いエピソードもたくさん出てくるが、全体を通して優しい気持ちになれる小説だと思う。
作者は現役精神科医である。
理想は交えているかもしれないが、現実から遠く離れたことは書いていないだろう。
昨年の夏、日本では障害者施設で大変いたましい事件が起きたばかり。
この小説は、今、読むと事件に対する考えが広がると思う。
【2冊目】
三浦しをん「ロマンス小説の七日間」
ロマンス小説の翻訳者である主人公の女性の、締め切りまでの七日間をつづった恋愛小説。
恋人とのごたごたに悩む精神状態が、彼女の翻訳に影響を及ぼし、訳するどころかいらんエピソードを加えて話を改竄しちゃうなど、とんでもない行動をとめられなくなる。
さらっと読めて、とくに大きな感動もないが(失礼)、でもどんどん読めるし、読後感のさっぱりした良い本だった。
食べ物で例えるとシャーベットみたいなパンナコッタみたいな杏仁豆腐みたいな感じ。
読書がはかどってる時って、私にとっては仕事が滞っている時なので、
あまり良い兆候とは言えませんw