死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

ウィーンのあの博物館に行ってきた

先日かなーりうつっぽくなってしまって・・・って日記を書きましたが、

 

yyyamori.hatenablog.com

 

 

こういう時、私は「自分非常事態宣言」みたいなものを出し、夫に助けを求めます。

もう欲望もなくなり、どこに行ったら/何をしたら/何を食べたら元気になるのかもわからないので、夫に丸投げして「さあ!私が元気になるようなところに連れて行ってくれ!」という他力本願200%なシステムです。

今まで宣言を出したのは計2回。冬季うつの時はクリスマスマーケット、それ以外の時は日本食レストランに連れて行ってくれました。

そして今回、

「それなら今回君を連れて行くところはもうわかってる、任せて!」と夫が私を連れて行ってくれたのは、

 

 

ウィーンにある「拷問博物館」でした。

 

https://www.wien.info/ja/locations/torture-museum

(興味のある方はこちらのページをどうぞ)

 

 

落ち込んだ妻を元気づけるためのチョイスとしては結構パンチが効いてます。

いや、私たしかに、前に行きたいって言ったけどさ・・・(←)。

 

その日は雨が降っていて、車で出かけたんですけど、近くまで来た時に、てっきり隣の水族館(Haus des Meeres)に連れてきてくれたんだと思ったんです。

そしたら「今日はそっちじゃなくて拷問博物館に行きます」と宣言されました。

 

拷問博物館はその名にふさわしく地下にあり、細い階段を下ったところに受付があります。その日は蒸し暑かったのですが、さすが地下、ひんやりしていて快適です。

入場料は大人6ユーロ。

 

最初の展示はグアンタナモ刑務所に関する資料。その次が空爆中の防空壕の様子を体験できる部屋。そのあとは主に中世の拷問が人形を使って展示されていました。

メインは人形を使った各種展示だったと思いますが、人形がだいぶ年季がはいっているせいか、秘宝館のような雰囲気(行ったことないけど)。

あと拷問というよりは処刑って感じのものが多かったです。魔女裁判で火あぶりとか。

拷問道具の展示のコーナーで展示棚の一つに「盗まれました」って張り紙がしてあったのが印象的でした(指を挟むだか足を締め付けるだとかの道具)。悪用されてないといいんだけど。

最後の方の展示では、現在も拷問が行われている国や地域の問題を指摘するような展示があり、そこには死刑制度の有無も含まれていました。死刑制度の是非を考えさせられる内容でした。

個人的にはグアンタナモの展示が興味深かったです。名前は知っていたけれども、今まで深く考えたことなどなかったので、色々と知るいい機会になりました。

 

展示数は10個あるかないかくらいで、すぐ見終わってしまいました。来てよかったけど、特に目新しいものもなく、再来することはないでしょう。

帰り際に夫が「僕たち中世に生まれなくてホントよかったね!」と満面の笑みで同意を求めてきたので、ああ、今回の目的はここにあったのかと納得しました。

(中世の酷い拷問の数々を見る→中世に生まれなくてよかった→現代に生きる私ってラッキー→元気に)

 

そのあとは近くの Cafe Ritter まで歩いて行って、軽食とコーヒーを頂きました。

Cafe Ritter は昔ながらのウィーンのカフェの雰囲気が味わえる個人的にはおすすめのカフェです。値段も有名店の割に良心的。

お腹もいっぱいになって、幸せな気持ちで帰ってきました。

 

まあ結果的には元気になったけど、それは夫の目論見通りというよりは、普段行かない場所に行って気がそれた結果という気がします。

 

私が中世の拷問とか刑罰にもともと興味があったのは、人間とはここまで残酷になれる生き物なのだ、ということを確認できるからです。拷問や処刑を、民衆はお祭りのように見にきた、それが普通の感覚だったと言いますが、人が苦しめられて殺されるのを楽しく見れるって、やっぱりおかしいと思うのです。それが「普通」という風に、民衆は簡単にコントロールされてしまう。自分もそんな「民衆」の一員であるという自覚、自分は今、何かに流されて残酷なことをしていないかと思い返すきっかけになるというか。

 

ということで、私のような変人か、よっぽど特殊な事情がない限り、あんまりおすすめできる博物館ではないかもしれません!

 

ということで、隣の Haus des Meeres をおすすめしたいと思います!

Haus des Meeres は、第二次世界大戦中にナチが建てた巨大な「高射砲塔」の中に作られたオーストリア初の海水を使った水族館で、建物自体がとても興味深いです。展示されているのは海水・淡水の魚はもちろん、ワニなどの爬虫類、サソリやクモ、各種昆虫(特にハキリアリの展示が絶品!)、鳥類になんとマーモセットもいます!

しかも鳥類とマーモセットは大きな温室に放し飼い状態なので、とても近くで見ることができます。

さらに、水族館内には歴史を学べる展示もあり、大戦中の写真を見ることもできます。

さらにさらに、屋上のカフェからの眺めは最高!個人的にはウィーンでいちばんの絶景だと思っています。

一石三鳥以上と言えるでしょう!

強いて言えば大人の入場料が19.90ユーロ(2千円強)とお高めですが、年間パスなら39ユーロとお得(ただし平日のみ)。

 

雨の日など、憂鬱な気分の時にうってつけのスポットです!

 

※あとで調べてわかったんですが、どうやら拷問博物館も高射砲塔の建物の地下部分を利用しているようです。大戦時は市民のための防空壕として利用されていたとか。