本当に面白かった。
20代から10年にわたってパートナーからの性暴力を受け、そのことにもう20年ほども悩み続けて来た著者が、文化人類学的な面から自分のトラウマに向き合うために大学院に入り、色々あって「動物性愛」について研究。主にドイツの動物性愛者のグループの面々とのコミュニケーションを通じて、筆者の「セックスの暴力性」などに関する考え、その変化などをまとめたノンフィクション。
うまく言えないけれど、とても手応えのある読み心地で、休み休み、2日かけて読んだ。
私には特に欧州の動物と人間の関係についての記述が興味深かった。
というのも、オーストリア・ドイツ人の愛犬家、特に女性と話していると、時々、猫なで声で
「〇〇(犬の名前)〜、ママはここよ〜」
などと、犬を擬人化というか、自分の子ども扱いした態度をとる人がいるのだが、
私はそれがとても嫌いで、一見犬を可愛がっているようで、犬に対する尊敬がない態度だと感じていた。
そこいらへんが多少スッキリしたし、夫にも1日中この本の話をしてしまうほど、影響され、とても読んで良かったと思える本だった。
著者の方は、この本を書いたり、この研究をしたことで、自分が受けたことの傷が少しは癒されたのだろうか。
そうだと願いたい。
冒頭に彼女が受けた暴力の描写があるのだが、こんなことがあってはならない。