死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

一時帰国してきました

日本に行ってきた。

 

仕事に必要な日本の書類があったので、それを取りに。

本当は、2年前みたいに夫と二人で夏にゆっくり帰省してもよかったのだけど、

オリンピック開催期間を避けたかったので、この時期になった。

しかも仕事の都合で1週間しか滞在できずに。

 

母はそんなことなかったけれど、還暦を超えてから一度大病した父は、結構見た目にも老化が一気に進んだ感じで、心が痛い。

子の幸せが親の幸せだから、などと他人は言うけれど、私は私の親不孝を心に刻みつけて生きていこうと思う。

 

私みたいな出来損ないのせいで、老後の資金はかなり減っただろう。

大学院まで行かせてくれたのに、稼ぎはこれっぽっちで学費を返すこともままならない。

その上、スマホの使い方がわからないとか、Wifiが繋がらないとか、あの俳優さんの名前が出てこないとか、ネットで頼みたいものがあるけどよくわからないとか、

そういう時に、私はいない。助けられない。何もできない。 

 

私を投資の対象だとするならば、ハイデマンドで、ノーリターン。有り体に言って詐欺である。

 

両親にとって、私とはなんだったのだろうか。

1970-80年代の日本で、家庭を持ち、子を産み育てるのがスタンダードだったから、

何の疑いも持たずに私を生み育てたのだろうけれど、

絶対に、思い描いていたハッピーエンドとは違うはずだ。

 

幸い、私にはできそこないではない方のきょうだいがいて、

きっとその人が私の両親を少しでも満足させてくれているだろうと思いたい。

 

日本に行く前の晩に、夫を相手に大泣きした。

夫は優しい言葉をかけてくれるとわかっていて、ここに書いたようなことをただただ吐き出した。

親を幸せにするために生きているわけじゃないけれど、

私は遠い外国で、死ぬまでの孤独を少しの間でも忘れさせてくれる優しい相手を見つけ、しがらみもなく幸せに呑気に暮らしている。

 

死ぬまでにその不公平を、なるべく埋める努力を最後まで続けたい、と思う。