死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

怒涛の一週間

長い夏休みをもらった。

残業や有給の調整も兼ねてるので、1ヶ月以上。

日本人の感覚からするとびっくりな長さである。

 

そして、夏休みに入る直前に、同じ会社の違う部門から仕事のオファーをもらった。

それがなんと、私の憧れの仕事、というか夢そのものだったのだ。

 

その場合、今の部門から離れなければいけない。

給料は大幅に下がる。

ウィーンから引っ越さなければならないので単身赴任。

夫とはなかなか会えなくなる。

さらにもらった夏休みは帳消しになり(お金はもらえるけど)、

すぐに仕事をしなければならない。

さらにさらに、噂によると、そこの部門、あまり人間関係が良くないらしい。

 

なんていうか、

「夢の仕事を今から始められる!」

というメリットを除けば、デメリットというか、リスクだらけのオファーだった。

なんだろう、よく言えばチャレンジしがいがあるし、悪く言うとやりがい搾取的な側面があるオファーというか・・・

 

で、結局のところ、断った。

 

オファーをもらった時は、

「いやいや、お金とかなにより、このチャンスをとらないでどうする!?」

という感じで、もうこれは、よっぽど条件悪くなければ決定だな!!と思っていた。

 

数日そのポジションでお試し感覚で働いて(無給)くれということで

うろうろ周りを手伝いつつ働いてみたところ、 

 「すごい!夢の舞台!」という気持ちになり、

先方も気に入ってくれたらしく「やったー!足りない人材が即補給できるー!もう来週からスタートして!」

という感じで、双方ハッピー!という感じだった。

 

 

そして、契約書のコピー(さすがにその場でサインはしなかった。しろと迫られたけど笑)をもらって、ウィーンに帰った。

 

で、夫に契約書を見せて、メリット・デメリットを表にしてみたところ、

上記のように、この仕事、

「夢が叶う!」以外にめぼしいメリットがなかった。

 

で、いろいろ、本当にたくさん、考える要素はあったのだけど、

私の中で一番大きかったのが、

「早く夢の仕事について経験を積みたい」

という気持ちと、

「ウィーンの家で夫とゆっくりしたい」

という気持ち。

 

私は昔、やりがい搾取みたいな環境で働いてたことがあるので、

それはもうこりごり。

それでも目の前に憧れの仕事がある状況で、

本当に、頭痛どころか吐き気がするほど悩み、

信頼できる友人たちに散々、要領を得ない相談の電話をかけまくった結果、

 

家族(夫)との時間を、大事にすることにしました。

 

一応礼儀と思って、自腹で交通費出して先方にお断りに行ったところ、

てっきり私がその日から働くもんだと思っていた事務の人に、

わりと無礼な態度をとられ、さくっと傷つく。

 

いや、契約書にサインしてないんだから、なにも悪いことはしてないんだけど。

こっちだって、かなり前向きな姿勢を見せといて断るんだから、

かなりの罪悪感はあり、そこにつけこむような言動でしたね。

 

それを見て、

「あー、お断りしてよかったのかも」

と思えたのが収穫というか・・・

 

そんなこんなで、夏休み1週間使って、

自腹で移動しまくり、大したことじゃないとはいえ数日無給で働いた上に、

先方の期待をひっくり返してがっかりさせ、

それに対する罪悪感に苛まれつつ、

プチ暴言(サインしないなら家に帰れ!)吐かれて帰ってきました。散々だな!

 

 

どっと疲れました。

 

結婚したり、家族ができて、幸せの形が変わる人が多いことを、

「家族ができると、”守り”に入るやつが多い」

っていうのかもしれない、と、ふと思った。