長い夏休みをもらった。
残業や有給の調整も兼ねてるので、1ヶ月以上。
日本人の感覚からするとびっくりな長さである。
そして、夏休みに入る直前に、同じ会社の違う部門から仕事のオファーをもらった。
それがなんと、私の憧れの仕事、というか夢そのものだったのだ。
その場合、今の部門から離れなければいけない。
給料は大幅に下がる。
ウィーンから引っ越さなければならないので単身赴任。
夫とはなかなか会えなくなる。
さらにもらった夏休みは帳消しになり(お金はもらえるけど)、
すぐに仕事をしなければならない。
さらにさらに、噂によると、そこの部門、あまり人間関係が良くないらしい。
なんていうか、
「夢の仕事を今から始められる!」
というメリットを除けば、デメリットというか、リスクだらけのオファーだった。
なんだろう、よく言えばチャレンジしがいがあるし、悪く言うとやりがい搾取的な側面があるオファーというか・・・
で、結局のところ、断った。
オファーをもらった時は、
「いやいや、お金とかなにより、このチャンスをとらないでどうする!?」
という感じで、もうこれは、よっぽど条件悪くなければ決定だな!!と思っていた。
数日そのポジションでお試し感覚で働いて(無給)くれということで
うろうろ周りを手伝いつつ働いてみたところ、
「すごい!夢の舞台!」という気持ちになり、
先方も気に入ってくれたらしく「やったー!足りない人材が即補給できるー!もう来週からスタートして!」
という感じで、双方ハッピー!という感じだった。
そして、契約書のコピー(さすがにその場でサインはしなかった。しろと迫られたけど笑)をもらって、ウィーンに帰った。
で、夫に契約書を見せて、メリット・デメリットを表にしてみたところ、
上記のように、この仕事、
「夢が叶う!」以外にめぼしいメリットがなかった。
で、いろいろ、本当にたくさん、考える要素はあったのだけど、
私の中で一番大きかったのが、
「早く夢の仕事について経験を積みたい」
という気持ちと、
「ウィーンの家で夫とゆっくりしたい」
という気持ち。
私は昔、やりがい搾取みたいな環境で働いてたことがあるので、
それはもうこりごり。
それでも目の前に憧れの仕事がある状況で、
本当に、頭痛どころか吐き気がするほど悩み、
信頼できる友人たちに散々、要領を得ない相談の電話をかけまくった結果、
家族(夫)との時間を、大事にすることにしました。
一応礼儀と思って、自腹で交通費出して先方にお断りに行ったところ、
てっきり私がその日から働くもんだと思っていた事務の人に、
わりと無礼な態度をとられ、さくっと傷つく。
いや、契約書にサインしてないんだから、なにも悪いことはしてないんだけど。
こっちだって、かなり前向きな姿勢を見せといて断るんだから、
かなりの罪悪感はあり、そこにつけこむような言動でしたね。
それを見て、
「あー、お断りしてよかったのかも」
と思えたのが収穫というか・・・
そんなこんなで、夏休み1週間使って、
自腹で移動しまくり、大したことじゃないとはいえ数日無給で働いた上に、
先方の期待をひっくり返してがっかりさせ、
それに対する罪悪感に苛まれつつ、
プチ暴言(サインしないなら家に帰れ!)吐かれて帰ってきました。散々だな!
どっと疲れました。
結婚したり、家族ができて、幸せの形が変わる人が多いことを、
「家族ができると、”守り”に入るやつが多い」
っていうのかもしれない、と、ふと思った。