死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

結婚した

2年くらい交際したオーストリア人のパートナーと先日、結婚した。

 

結婚の話はずっと出ていたのだけど、

私の就職が実現するまで待っていてくれた。

滞在許可に対するプレッシャーがない状況での私の返事を待っていてくれたのだった。

 

下世話な言い方をしてしまえば、私がビザが欲しいが故に気持ちを偽って"yes"と言ってしまう可能性を排除した、ということになる。

 

彼は自分の防御のためにそうしたのではなく、

あくまで私の本当の気持ちを優先したいからそうしてくれたのがわかっていたので、

とても嬉しかった。

 

お互いの知人、友人の国際結婚カップルに話を聞いたところ、

オーストリアでは日本みたいに書類を書いて提出したら結婚できるわけでなく、

最低でも証人を2人連れて簡単な儀式的なものをしなければならないとのこと。

だから予約が必要で、ウィーンでやるなら3ヶ月は待たなければならないという話だった。

 

双方クリスチャンならクリスチャン式のセレモニーをすることができる。

そうじゃない場合でも親族を呼んで簡単なセレモニー的なものを行うことができる。

セレモニー的なものをする場合はもっと待たなければならないという噂。

 

私たちはお互いあまり信心深くないし、そもそも私はクリスチャンではないし、

とりあえず一番かんたんな証人だけ連れて行くスタイルのものを予約しようということで、書類が揃っているかのチェックをしてもらう目的も兼ねて、ある日役所にふたりで出かけた。

 

ウィーンの冬はあいかわらずで、

毎日じめじめしていて、車の窓から見える空は灰色で、寒かった。

 

役所は思ったより空いていて、担当の女性のオフィスに呼ばれた。

話を聞くとなんと、2年前に法律が変わって、

今は証人もいらないし、ちゃんと書類が揃っていさえすれば、

二人のサインだけで結婚できちゃうらしい。

 

そして私たちの書類は完璧だった!

(3年目にしてオーストリアのお役所仕事への対応に慣れてきた気がする)

(つまりHPとかに書かれていなくてもありったけの必要な可能性がある書類を持っていくということ)

 

いつ結婚したいですか?と聞かれて、

できれば早い日付で・・・と答えたら、

今からでもできますよ!とのこと。

 

びっくり!

 

そもそも何のセレモニーもいらなかったので、

別に「今から」でもよかったのだけど、

二人ともなんとなく時間が欲しくて、

覚えやすそうな日付だった、3日後の11時を予約してきた。

 

帰り道は何やらほかほかした気分だった。

 

3日後の朝は、二人でテキトウな朝ごはんを食べて、

普通の服を着て、車に乗って役所に出かけた。

 

ここ数日の雨が嘘のように、青い空が広がっていて、

それだけで「さすが私たち!」という気分になった。

 

先日の手続きをした女性のオフィスに呼ばれて、

書類に間違いがないか確認して、

本当に結婚しますか?と聞かれて、はい、と答えて、サインした。

 

彼女はとても親切で、本当に暖かい笑顔とハグと言葉で祝福してくれた。 

 

ドレスもなく、指輪もなく、苗字も変えず、こちらから言わなければ誰にも気づかれない私たちの結婚。

 

結婚した日の空が特別に青かったことを、がんばって忘れずにいようと思う。