死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

ちょっとうれしかったこと・タクシーの車内にて

 

普段はほとんどタクシーは利用しない私ですが、郊外に住む友人のおうちに遊びに行く時に、使います。そこは、最寄りの地下鉄駅から離れているので、タクシーが便利なのです。

 

 

 

ウィーンのタクシードライバーはほぼ全員が移民の出自の人たちです。

 

なので、ドイツ語でしか世間話はできないことが多いです。

(英語が話せる人もいます)

 

愛想やサービスは、その人の性格によりけりです。愛想のない人もいるし、フレンドリーな人にも会ったことがあります。

 

メーターをちょろまかすような人には私は会ったことはないです。

 

 

 

その日も私はタクシーに乗ったんですが、ちょっと疲れていたのもあって、

 

すぐに音楽プレーヤーをオンにしてイヤホンを耳に突っ込み

 

「話しかけないで・・・」モードになってしまいました。

 

 

 

しばらくすると、ドライバーのおじちゃんが何やら話しかけてきているのに気づきました。

 

イヤホンを外して「なあに?」と聞くと、窓の外を指さしながら

 

「あのレストランって日本の?それとも中国?」と。

 

 

私は看板とその店の雰囲気から

 

「日本料理って書いてあるけど、オーナーは韓国人だと思う」と言いました。

プルコギとか書いてあったので。ちなみにこちらの日本料理屋は、他のアジア諸国出身の方が経営されている場合が多いです。

 

 

おじちゃんは「ずっとあの看板がどういう意味なのか気になってたんだ!」というので、漢字の意味を教えてあげました。ちなみに「夢= Traum」という漢字が入ってました。

 

私が「いい意味の漢字だよ。素敵な名前だと思う」というと、「そうかそうか」と嬉しそうでした。

 

 

おじちゃんは私が外国人だからか、ゆっくり話してくれたので、せっかくだしドイツ語の練習に付き合ってもらうことにしました。笑。

 

 

「なんで私が日本人だと思ったの?」

 

「なんとなくだよ。昔TU(ウィーン工科大学)で勉強してた時に、日本人の友達がいてさ。彼は大阪出身だったんだ。君はどこから来たの?」

 

「私は東京だよ」

 

「ドイツ語大変でしょう!」

 

「うん、すごい大変〜」

 

 

 

という感じで会話を楽しみつつ、話の流れでおじちゃんの身の上話に。

 

おじちゃんはイラン出身で、30年以上ウィーンに住んでて、いろんな仕事をしたけど、今はタクシードライバーなんだとか。

 

「アジアからの観光客もたくさん乗せるけど、日本人はなんていうか・・・すごくgeöffnet(オープン)でいいよ。アジアの中では一番オープンだし、必ず英語かドイツ語で話しかけてくれる。コミュニケートしようという気持ちがあるんだ」

 

と言っていました。

私は本当?日本人はシャイでクローズドな民族だと思っていた。というと、そんなことない、と言ってくれました。

 

ずっと私は日本人はクローズドだな、と思っていたので、新しい見方を教えてもらった気分です。

 

降りる時に、料金が12ユーロだったので、チップも入れて13ユーロかな、と思い、10ユーロ札を2枚だすと、おつりの小銭がないから!と言って10ユーロ札しか受け取らないおじちゃん。それはダメでしょ!ってことで、さいふをひっくり返して小銭を集めたらやっと80セントに・・・

 

「どうしよう、これしかない、ごめんね」っていうと、

 

「十分だよ!俺、よくあそこの駅にいるからさ、また乗ってよ!」と言って、去って行きました。

 

降り際に「君の人生にたくさん幸運がありますように!」と言ってくれました。

 

 

 

私の先輩にあたる日本人の人たちが、世界中で素敵なふるまいをしてきたおかげで、日本人であるというだけで、親切にしてもらえることが本当にありがたい。私もそう思われる日本人でありたいと思いました。

 

 

 

あと、先ほど書いたように、こちらのドライバーは移民の出自の方が多いです。話しかけてくる人は大体、私のドイツ語を聞いて、ああ、苦労してるんだなあ、と自分も通った道を思い出すのか、

 

「ドイツ語難しいよねえ」「新聞読むといいよ!」とか、

 

励ましてくれたり、アドバイスしてくれたりすることが多いです。

 

 

 

言葉のことで落ち込むことが多かったので、かなり癒されました。

 

(移民や難民の問題について、また今度、書こうと思います)