死ぬまでにしたいいろんなこと

墺太利(おーすとりあ)滞在6年

何を以て留学「失敗」というのか

ふとそんなことを思いました。

私、日本に帰る予定は今のところありませんが、

今もし帰ったとして、ドイツ語もペラペラには程遠く、

(英語はだいぶうまくなった気がします)、

留学したからこそのキャリアアップ、みたいなのも多分望めないだろうし、

経済的なことを言えば、日本で普通に働いていた方が全くもって豊かだったでしょう。

 

ある人からすればそれは「失敗」なのかもしれません。

 

でも、私は来てよかったと思う。だから今のところ「成功」だと思っている。

 

なんでこんなことをいきなり思ったかというと、

何かを調べていたときに、ネットで

「海外で日本人とつるむことの是非」みたいな議論を見かけまして。

こういうところで必ずひとり、言う人がいるんです、

「お前は何のために留学したのか。そんなんじゃ留学失敗に終わるぞ」と。

 

昔の私だったら真に受けていました。

今なら「ほっといて❤️」って思うんですけど笑。

 

別に、語学が上達しなくたって、

日本人と仲良くなっちゃったって、

本人が「成功」と思えばそれでいいと思います。

別に誰に迷惑をかけているでもなし。

 

あ、お金を出したのが親御さんだったら、

親御さんには文句を言う権利があると思いますよ、もちろん。

 

「せっかく海外に行ったのに日本人と仲良くなっちゃって(または怖くてひきこもっちゃって)語学が上達しなかった自分」に気づいて、

そこを日本で生きていく上で改善していこう、って気づけたなら、

それは大成功なんじゃないかと思うのです。

 

あと、個人的には、日本人のコミュニティとの距離感は、ひとそれぞれでいいじゃない、と思う。

本当に、付き合うにしろ、付き合わないにしろ、メリットデメリットはあるので。

ただ、若い方ほど、日本人とのつながりはもっていた方が良いと思います。

そう思うようになったのは、ある本を読んだのがきっかけでした。

 

 

 これは、「将棋の子」などでも有名な大崎善生さんのノンフィクション。

19歳の日本人留学生の女性と33歳の自称指揮者の男性が、

彼女の留学先のルーマニアで出会い、最後、心中してしまうお話。

 

この男性が病的な虚言癖で、本当にどうしようもない奴なんだけど、

彼女の孤独な心は惹きつけられてしまう。

 

自分の19歳を振り返ってみると、まだまだ未熟で、まあ、そういうことが起こっても仕方ない気がした。

彼女が留学していた街は、現地日本人は数えるほどしかいない、

ネット環境も整っていないような場所だったというから、さらに同情してしまう。

 

うまくまとめられませんが、留学や海外滞在は、本当に個人的な体験であって、

本人のステータスに加え、行く場所や時期、期間、目的などにより、千差万別です。

 

何百人も留学生を見てきたエージェントとかなら一般論として語る何かをお持ちでしょうが、

そうでなければ、それは「個人的な体験」という文脈で語ったほうがいいのでは、

というか自分はそのように伝えていくであろう、ということでした。